コラム

今月のコラム

2017年 2月号

歯科医院経営を考える(473)
~院長の衛生士教育~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 ある歯科医院の院長と話をしていて最近の衛生士の問題に話が及ぶと、院長は最近に若い衛生士との接し方が難しいという。21歳と23歳の二人の衛生士がいるそうだが、少し注意をし、苦情を言うとすぐシュンとなってしまうし、言わなければ直そうとしない、だからついつい注意するのをためらってしまうのだという。ある大学の教授がこんなことを言ってこぼしていた。純粋な子ほど「批評」を「否定」としか捉えない。彼らには「称賛」だけが「肯定」なのだ。無暗に褒められてきた子供たち。素晴らしい、天才、といわれなければショックを受け、さらに「ここはよくない」と言われ驚く。彼らはこれを「怒られた」と言う。僕は怒ってなどいない。僕の本音の指摘は「怒り」や「人格否定」と解釈されてしまう。確かに最近の若いスタッフはこうした傾向にあると思う。しかしこういう関係では衛生士の実務能力も伸びないし、ましてや人間的な成長ほど期待できない。衛生士の仕事は単に患者の口腔清掃だけをやればよいというものではない。患者の身体は勿論、感情面のケアもする必要がある。となると衛生士自身の人間的な成長なくして患者と向き合うことが不可能になる。患者の中には怒鳴り散らす強面の患者もいれば、丁寧な言葉遣いをして、一部の隙も見せない患者もいる。それに応じてどう対処していくかは、豊富な人生経験を活かしながら、その場、その時の患者の心理、心情を的確に把握して対処する必要がある。衛生士学校を卒業して初めて歯科医院のスタッフとなり、人生経験豊かな患者を前にして、どうつくろってみたところで患者にかなうわけがない。その時に大きな武器になるのは若い情熱だ。科学に基づいた知識を熱っぽく患者に話し、患者自身のために説いているという熱意で語るしかない。情熱が人を動かすという典型だ。若いうちはそれを武器として必死に対応すればよい。先ず院長は若い衛生士にそれを体験させる努力をすべきだ。とにかく患者に正面からぶつかっていく情熱を鍛える。そのためにはしっかり基礎知識を身に付けさせ、それを臆せず話しかける努力だ。熱意とともに話術も重要になるし、患者がどのような反応を示しているかの観察も重要になる。時には患者の逆鱗にふれ怒鳴られることもあろうが、その時に救いになるのは院長の「よくやっている」という承認と努力に対する惜しみない賛辞である。将来の人材に育つかどうかは院長の対応次第であると思う。

(つづく))

 

〔タマヰニュース2017年 2月号より転載〕