コラム

今月のコラム

2019年06月号

歯科医院経営を考える(501)
~歯科医院の安定規模~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 最近はいろいろ調べ物をするときにインターネットを利用することが多い。例えば知らない土地に出張するときの宿泊先を探す場合は、インターネットの「るるぶトラベル」や「じゃらんネット」から探す。地域別に実に詳細な情報が得られるからすぐ見つかり、予約も素早くできる。それはそれで便利なのだが、一度宿泊すると、そのホテルの広告が全く関係のない画面でも頻繁に出てくるのである。つまり「何月何日にどのホテルを使ったか」の個人情報が利用されている証拠である。またアマゾンで本を探し、購入すると、購入した本と関連する内容の本がずらずらと出てくる。こうした個人の行動をAI等の技術で自動的にチェックし広告に利用しているだけなら問題はないが、意図的に収集、分析されているとなると怖い話である。中国では、当局に何らかの理由で要注意人物と認知された場合、顔認証と市中の至る所に設置されたカメラで徹底的に追跡され、監視されるという。一度日本の某TV局の記者が試験的に追跡を受けたところ1日の行動の全てが当局によって全て把握されていたというから恐ろしいことだ。以前に一度紹介した大分県臼杵市の「うすき石仏ネット」はその点からすると極めて安心のできるシステムだ。病院、医院、歯科医院、調剤薬局、健診、消防署、居宅介護支援事業所、訪問看護ステーション、介護施設を結び患者情報を共有することで、地域住民の医療状況や生活状況をネット上で共有できるように作られたシステムである。しかも上記のようなインターネットではなく、地元のケーブルTVの地域イントラネットを使用することで情報の流出を徹底して防いでおり、しかもサーバーは津波の被害を受けないように安全な場所に設置しているというから凄い。また災害時の救援活動で必要となる個人情報や医療状況も予め70歳以上の高齢者に対し定められた用紙を渡して書き込んでもらい、プラスチック容器を支給して、その中に入れ冷蔵庫に保管してもらっているという。何故冷蔵庫か?冷蔵庫はどこの家庭にもあり、災害時にも壊れにくく救助隊員が見つけやすいからだそうだ。臼杵市では地域振興協議会を住民主導で立ち上げ高齢化しつつある既存の自治会を補完し、住民やPTA、地域の関係団体と連携強化を図り、住民による高齢者の見守りや声掛け等を通じて地域の高齢者を支えあう仕組みづくりをしているというから凄いと思う。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2019年06月号より転載〕