コラム

今月のコラム

2021年 5月号

歯科医院経営を考える(523)
~コロナ感染対策の徹底を~

デンタル・マネジメント
コンサルティング


稲岡 勲

 最近になって日本でも新型コロナウイルスの変異株が猛威を振るい出している。欧州主要国では新規感染者に占める変異株の割合が8割を超えたと言われている。日本全体では36%だそうだが、大阪では67%、兵庫県は77%に達したそうだ。封じ込めの鍵を握るのはワクチン接種だそうだが、そのワクチンの接種が日本ではようやく医療従事者から高齢者を対象に始まったばかりだ。日本はワクチンの確保が何故このように遅くなったのか、その原因は検証されるべきだと思う。そもそも日本では最初のPCR検査が極めて少ない。当初陽性サンプルの10%しか検査しない方針だったが、変異株の蔓延を受けて40%に検査数を拡大したのだそうだ。そもそもPCR検査が少なすぎるという問題がある。もっと多くの場所で唾液検査や鼻腔検査を実施して、感染の有無を調べるべきではなかったか。PCR検査を抑制してきた日本では、第三波で感染者が急増した1月でさえ、人口10万人当り検査数は1,489件で、アメリカの15,067件、イギリスの26,191件、韓国の2,842件よりも少ない検査数である。特に今年はオリンピック開催を控えて、早期に徹底した予防対策と感染対策を実施するべきではなかったか。公衆衛生上のロックダウンを実施して、営業上の損害賠償を徹底すれば完全封鎖も可能である。アメリカの国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が「米医師会誌」にコロナが蔓延した国では、ウイルスは変異し続け、遅かれ早かれ誰もが変異株に感染する」と明言している(雑誌「選択」)というから恐ろしいことだ。しかも日本が導入して使いだしているファイザー社のワクチンは変異株が蔓延する前に治験が終わっており、変異株に対する臨床的有用性が確認されていないという。アメリカのロックフェラー大学はファイザー社のワクチンは変異したブラジル株に対して効果が減弱すると報告しているというから心もとない話だ。また北海道大学と東京大学の研究チームが、下水から変異株を検出することに成功したそうだが、それが市中感染の頻度を反映するというから、そうした指標を基に徹底した感染対策を立てるべきではないか。

 

(つづく)

 

〔タマヰニュース2021年 5月号より転載〕